犬の皮膚トラブルの原因と対策

犬のお世話

皮膚トラブルは動物病院にかかる犬に一番多い症状であるといわれており、犬の皮膚トラブルで悩んでいる飼い主さんはとても多くいます。

今回は、そんな飼い主さんのために犬の皮膚トラブルについて原因や対策などご紹介致しますので、愛犬の健康管理に是非ご活用ください。

皮膚トラブルとはどのようなものか

皮膚トラブルの症状はフケが多い、抜け毛が増える、体を頻繁に掻く、毛艶が悪くなる、皮膚の色が変わる、皮膚にできものがあるなど数多くありますが、一言で皮膚トラブルと言っても被毛に影響がでたり皮膚以外の病気が原因であったりすることがあるので注意しましょう。




皮膚トラブルの原因と対策

乾燥が原因の場合

犬の皮膚トラブル症状の1つであるフケは、短毛種に多くみられる体質による症状であり皮膚の乾燥によって引き起こされます。

そもそもフケは新陳代謝の働きで古い皮膚がはがれるときに発生しますが、皮膚が乾燥した状態になると免疫力が低下して、皮膚の再生リズム(ターンオーバー)が早まることによって古くなっていない皮膚までもが剥がれ落ちてしまいます。

対策

犬の皮膚状の角質層は、なんと人間の1/3~1/5程度であると言われており乾燥にとても弱いため皮膚トラブルの原因になりやすいと考えられています。

生まれつきの体質で皮膚が乾燥しやすい犬、または季節的問題で乾燥が目立つ場合、定期的に犬用保湿ローション、保湿クリーム、軟膏などを利用すると皮膚トラブルに効果的です。

シャンプーの際は、犬用の低刺激の乾燥肌用シャンプーを利用するのも良いでしょう。皮膚が乾燥した状態になると微生物を中心に外部刺激に対しての抵抗力が弱まり、痒みの原因にもなるため早めに対策を行いましょう。

シャンプーが原因の場合

皮膚が敏感であったり免疫力が低下していたりすると、シャンプーの種類によって皮膚トラブルが引き起こされることがあります。

またシャンプーの頻度が多すぎる場合、皮膚に必要な油分が過剰に減ることによって、フケをはじめとした皮膚トラブルを引き起こすことがあるのでシャンプーの頻度にも注意が必要です。

対策

敏感肌の場合は、犬用の低刺激シャンプーを活用してシャンプーの頻度にも注意を払い、必要に応じて保湿効果のある皮膚用ケア用品を利用することが有効です。

一般的に犬のシャンプー頻度は月に1~3回が目安といわれていますが、健康状態に問題がなく基本的に室内飼育で汚れがそれほどない犬の場合、3週間に1回~月1回で十分です。

食物アレルギーが原因の場合

特定の食べものや食事に含まれる添加物などに対してアレルギー反応が起こり、目や口の周辺、肛門周囲、脇の下、背中や手足の先に痒みが生じます。

食物アレルギーによって引き起こされる皮膚トラブルはアトピー性皮膚炎の症状と非常に似ている、または併発していることがあるため、特定が難しいこともあります。

対策

血液検査でIgEとリンパ球を測定してアレルゲン物質の特定を行ったり、食事から特定の食べものを排除して様子を見る(除去食試験)を行ったりすることで、アレルギー反応の原因になっている食物を特定します。

いずれかの方法でアレルゲン物質が特定されたら、それらを犬の食事から排除します。

犬は様々な食物がアレルゲン物質となることがありますが、中でも牛肉や牛乳、小麦、大豆などのたんぱく質に反応することが多いと考えられています。

アトピー性皮膚炎が原因の場合

アトピー性皮膚炎は多くが遺伝子的要因で発症し、約75%程度は3歳までに発症するといわれています。

アトピー性皮膚炎は主にほこりやダニ、花粉などのアレルゲン物質を吸い込むことによって引き起こされ、重度の痒みを伴う皮膚トラブルの原因になります。

対策

動物病院での治療が必須となり、それに合わせて自宅での対策を行いましょう。

動物病院では一般的には「副腎皮質ステロイド薬」や「抗ヒスタミン剤」を中心とした投薬治療が行われます。

自宅では体に付着したアレルゲン物質を取り除くための定期的なシャンプーや、皮膚炎による乾燥対策のための保湿液を活用したケアが必要になります。

犬の生活空間にアレルゲン物質が入り込まないよう、衛生面の管理をすることが大切です。

ノミアレルギー性皮膚炎が原因の場合

ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミが吸血するときにノミの唾液に含まれる「ハプテン」に対して犬の体がアレルギー反応を示すことによって、痒みを中心とした皮膚トラブルを引き起こします。

ノミの寄生数が多かったり適切な処置をしなかったりすると重度の皮膚トラブルを引き起こし、痒みによる睡眠不足や睡眠不足による貧血症状が現れることがあります。

対策

動物病院での治療が必須となり、それに合わせて自宅での対策を行いましょう。

動物病院では犬の体についたノミの駆除薬、痒みを抑えるための薬や抗アレルギー薬での処置が一般的ですが、皮膚トラブルの状況に合わせてビタミン剤が処方されることもあります。

自宅での対策で一番大切なことは、定期的に掃除をして犬の生活空間からノミを排除することです。

ノミの死骸にもアレルギー反応を示すこともあるので、まずは掃除機をかけてノミの死骸を除去、駆除薬などを利用して生きているノミも駆除しましょう。

ノミに関しては薬で予防できるので、治療後はしっかりと予防対策を行うことが大切です。

ツメダニによる皮膚トラブルが原因の場合

ツメダニは通常のツメダニとは異なり、犬に寄生する特有のダニであるためイヌツメダニとも呼ばれています。

主な皮膚トラブルは大量のフケが目立つようになり、痒みが出ることもあります。皮膚をかき分けたときにフケの塊のようなものが確認されますが、この下にツメダニが住処を作ります。

対策

動物病院での治療が必須となり、それに合わせて自宅での対策を行いましょう。

内服薬、スポット薬、薬浴剤などを利用して体に付着したツメダニを殺しますが、ツメダニは接触することによって人にも感染して「ダニ刺咬性皮膚炎」の原因にもなるため、早めの対策が必要です。

マダニによる皮膚トラブル

マダニが寄生して犬の皮膚に噛みつくことによって、皮膚トラブルや貧血が引き起こされて重症化すると栄養障害の原因にもなります。

皮膚に関してはアレルゲン物質であるマダニの唾液によって強い痒みを伴い、マダニの種類によっては毒性の物質をつくりだすものがあるため、その場合は神経障害も引き起こされるので注意が必要です。

対策

動物病院での治療が好ましく、それに合わせて自宅での対策が必要になります。

マダニが数匹付いている程度であればピンセットなどで取り除きますが、この際に顎体部が犬の皮膚に残ってしまわぬよう注意が必要です。

マダニが多い場合は、「ピリプロール」、「フィプロニル」、「ペルメトリン」などがマダニ駆除に効果的であると考えられていますが、獣医師の指示に従って適切な治療を受けましょう。

その他病気による皮膚トラブル

犬の皮膚病で有名なのは、膿皮症やマラセチア皮膚炎、疥癬症などです。

その他、皮膚トラブルは皮膚の病気のみならずホルモンの異常や甲状腺ホルモンの異常、腎臓や肝臓の病気が原因で引き起こされることもあります。

対策

病気が疑われる場合は、獣医師の指示に従い皮膚トラブルの根本的原因に対する治療を受けましょう。

皮膚病が原因の場合、大抵は自宅での頻繁な薬浴やシャンプー、保湿剤を利用した定期的なケアが必要となることがあります。




皮膚のトラブルになりやすい犬種

一般的に皮膚病を発症しやすいのはサルーキ、アフガンハウンド、グレートピレニーズ、ボルゾイやフレンチブルドッグなどの犬種です。

食物アレルギーによる皮膚トラブルに関してはフレンチブルドック、柴犬、ダックスフント、チワワなどに多いといわれていますが、一言で皮膚トラブルといってもその原因によって好発犬種は異なります。

皮膚のトラブルについてまとめ

犬に何かしらの皮膚トラブルが起こってしまった場合、まずは早めに動物病院で検査を行い適切な治療を受けることが大切です。

皮膚トラブルを引き起こす原因によって異なるものの、大抵は自宅での薬浴やシャンプー、食事管理や犬の生活環境の衛生管理などが必要になります。

愛犬の皮膚トラブルは痒みや炎症、痛みなどを引き起こしやすく犬のQOL低下を招く要因になるので、予防できるものは予防してトラブルが発生したら早期治療を行いましょう。