下痢の原因と対策。愛犬が下痢になった時の対応方法

犬のお世話

犬の下痢に悩む飼い主さんが多くいますが、下痢を引き起こす原因は食事内容や温度変化、ストレスなど一時的なものもあれば、根本治療を必要とする病気の可能性も考えられます。たかが下痢と放置せずに、原因をしっかりと突き止めて対策を行いましょう。




犬の下痢とは?

下痢は、便中に含まれる水分が多くなっているときに生じる柔らかい便を指します。

このような便は、何かしらの原因で腸からでる水分の分泌が増えてしまっている、腸で水分を適切に吸収できていない、または水分吸収時に腸の動きが速すぎることによって吸収しきれないときに発生します。

小腸や大腸で何かしらの異常が出ている、小腸や大腸の状態が悪い時などに引き起こされます。

下痢の原因と対策

食事や食事量が原因の場合

体質に合っていない食事や食事量が多すぎる場合、急に食事内容を変えたときなど下痢になることがあります。

対策

食事内容や食事量の見直しを行いましょう。

犬によって体に適した食事は異なりますが、一般的には犬の消化器官に適した良質な動物性たんぱく質が主原料の食事、消化しにくいトウモロコシや米類などの穀物が入っていないグレインフリードッグフードに切り替えることで下痢症状が緩和されることがあります。

ただし食事内容を変える際は、犬の消化器官に負担がかからないように徐々に変更する必要があります。

もともと与えていたドッグフードに、少しずつ新たなドッグフードを加えていき1週間を目安に完全に食事内容を切り替えると良いでしょう。

温度変化が原因の場合

季節の変わり目に下痢をする犬が多くいますが、急な温度変化も下痢を引き起こす原因になります。

温度が急に上下すると犬の体は過剰な温度変化に適応できず下痢をはじめとする消化器系症状を引き起こしますが、春や秋に限らず夏場にエアコンがかかっている部屋から暑い室外にでたときなどの温度変化にも体が適応できないことがあるので注意が必要です。

対策

温度変化が起こりやすい季節は、犬の生活空間の温度管理を見直しましょう。

個体差や犬種によって大きく異なりますが、基本的目安としては健康体の成犬であれば21℃~23℃程度が適温であると考えられていますので、人間の体感温度で判断せずに温度計を利用して温度管理をしてあげましょう。

夏場の散歩は室内外の温度差が大きくならないよう朝方や夜に行く、冬場は洋服を着せるなどの工夫をしたりすることで温度差を軽減することができます。

精神的ストレスが原因の場合

犬も人間のように、ストレスによって下痢を中心とした消化器系症状を引き起こすことがあります。

ストレスには様々な要因がありますが犬の場合は、環境の変化や飼い主との関係性の悪化、運動不足などが主なストレス要因になりストレス性腸炎になってしまうこともあります。

対策

犬の生活からストレス要因を無くしましょう。

来客や騒音、ちょっとした飼い主の態度の変化など、人間が気にならないような小さな変化にも敏感に反応していることがあり、家族が増える、生活環境が変わる、運動量が足りないなど何かしらのストレス要因があるので、いち早く気づいてあげることが大切です。

ちょっとした環境の変化に大きなストレスを感じてしまうような神経質な犬の場合、犬用フラワーレメディーやアロマを活用するのも良いでしょう。




下痢になったときの対応

POINT

  • 絶食をさせる
  • 消化によい食事を与える
  • 適切な水分補給
  • サプリメントの活用

絶食をさせる

獣医師から指示されることがありますが、24時間程度の絶食も下痢のときには効果的です。

特に大腸に炎症が起こっている際は、腸全体を一度空の状態にすることで犬の消化器官を休ませますが、絶食を行う際は獣医師に相談の上、水分だけはしっかりと摂れるように工夫しましょう。

消化によい食事を与える

絶食後は、徐々に食事量を増やしていき通常与えている量に戻しますが、このときに消化に良い食事を与えることも大切です。

ドライフードであればお湯でふやかして与えることによって水分量も増え、消化しやすい状態になります。

病気でなく一時的な原因によって引き起こされる下痢の場合は、動物病院の下痢止めと絶食、消化に良い食事を与えることによって数日で治ることがありますが、下痢が続く場合は病気の可能性について考えなくてはいけません。

適切な水分補給

下痢を引き起こしている犬の場合、便と一緒に水分が過剰に分泌されてしまうことが多いため脱水症状防止のために適切な水分補給を行う必要があります。

脱水症状になってしまうと様々な身体の不調のみならず、長時間過度な脱水により命を落とす危険性もあるので、下痢がひどい場合は特に注意して水分補給をさせましょう。

サプリメントの活用

病気が原因でなく体質的に下痢を引き起こしやすい犬もいます。

そんなときは悪玉菌増殖を抑えるためのビフィズス菌や有胞子性乳酸菌、善玉菌の働きをサポートするフラクトオリゴ糖、摂取した食事の消化吸収を助ける酵素などが配合されたサプリメントを活用するのも効果的です。




下痢の原因となる主な病気

下痢が長引く場合、または血が混ざっていたりゼリー状であったりする場合、下痢以外にも元気喪失や食欲低下をはじめとし他の症状が確認できる場合は、病気を疑う必要があります。

急性の下痢であれば、消化器官の内部寄生虫、細菌性腸炎、感染症(ジステンパーやコロナウイルス性腸炎、パルボウイルス)や腸の炎症などが疑われます。

慢性的に下痢を起こす場合は、慢性特発性腸疾患や悪性腫瘍なども疑われます。

その他、与えている食物に対するアレルギー症状やホルモン異常の可能性など下痢を引き起こす病気は数多くあるため、動物病院でしっかりと検査を行い治療する必要があります。

消化器官の内部寄生虫

消化器官の内部寄生虫の場合、下痢のみならず消化物を吸収してしまったり、腸から血液を吸い込んでしまったりする危険性があり、様々な症状を引き起こすため注意が必要です。

細菌性腸炎

細菌性の腸炎の場合、初期症状で最も現れやすいのが下痢です。

感染した細菌の種類や炎症が起きている部位などによって引き起こされる症状は異なりますが、細菌性腸炎はその原因に関わらず下痢症状は必ずといって良いほど起こります。

食中毒の原因となるサルモネラ菌や、毒性の強い腫の大腸菌などがあります。

ジステンパー

ジステンパーの場合は、下痢以外にも鼻水や目ヤニ、痙攣を中心とする神経症状が同時に引き起こされることがあります。大抵は生後6か月以内の犬に多いため、子犬の下痢には注意しましょう。

コロナウイルス性腸炎

コロナウイルス性腸炎は激しい下痢や嘔吐を伴う腸炎で、感染すると悪臭が強いオレンジがかった軟便から血液の混ざった下痢になるケースが多いと考えられています。

成犬の場合は症状がでない場合もありますが、子犬に関しては死亡する可能性もあるので早急に対処しなければいけません。

パルボウイルス

パルボウイルスによって下痢になる場合、大抵は激しい嘔吐も引き起こされます。

パルボウイルスは死亡率の高い病気ですので、下痢に合わせて激しい嘔吐がある場合は早急に動物病院で検査を行いましょう。

腸の炎症

腸の炎症は下痢の直接的原因となりますが、小腸の炎症の場合は持続的な下痢症状のほか、栄養の吸収が妨げられ、食欲不振・体重減少なども引き起こす可能性があります。

大腸炎の場合は便内に粘液や血液が混ざりこむことがあり、腸の炎症に関しては原因が様々です。

犬に起こる下痢についてまとめ

犬の下痢で悩む飼い主さんは多く、たかが下痢であると放置してしまう事もあるかと思います。

下痢の原因は一概に病気であるとは言えず、一時的な要因で絶食や下痢止めの利用、食事内容の見直しなどによって数日で改善することもありますが、子犬や老犬・病気などによって体力がない犬の場合は注意が必要です。

特に急性の下痢や進行度合いが速い下痢に関しては、時に数日程度で命の危険を伴うこともあります。

犬の年齢や健康状態によって異なりますが、たかが下痢であると判断せずに獣医師に相談のうえ適切な検査を受けて原因に応じた対策を練りましょう。