犬の予防接種や検診について

犬のお世話

最後に愛犬と動物病院へ足を運んだのはいつですか?気がつけばもう、数年もたっているという方も珍しくないでしょう。

もちろんこれは愛犬が元気で健康に過ごすことが出来ている証でもあるので悪いことではありません。でも愛犬の健康管理には予防という側面も大切です。今回は今後心掛けておきたい予防医療に注目してゆきましょう。

混合ワクチンは成犬にも必要な予防医療

まだ愛犬が生後半年未満と小さかったころ、数カ月おきに混合ワクチンの摂取に足を運んだことでしょう。3回目の混合ワクチン摂取が完了するまでは、散歩や他犬との接触は避けるべきというルールもあったはずです。

しかしその後、散歩やドッグランを楽しむようになり、トリミングショップやペットホテルの利用予定のない生活を送る中で、混合ワクチン摂取を行っていないというご家庭も多いでしょう。

犬の混合ワクチンとは下記の病気を予防するための医療です。

POINT

  • ジステンパー
  • 伝染性肝炎
  • アデノウイルス2型感染症
  • パルボウイルス感染症
  • コロナウイルス感染症
  • パラインフルエンザ
  • レプトスピラ感染症

あくまでも予防医療ですから、その効果は100%ではありません。しかし上記の病気の中には致死率が大変高いもの、空気感染をするものもあります。もしもの場面を想定し、予防行為を行うことは大きな安心につながるでしょう。

混合ワクチンは、飼い主が任意で行う医療です。一回の注射で10000円前後が目安です。

すでに成犬という場合やペットホテルやトリミングショップの利用予定が無い場合は、比較的発症数の多い病気予防に限定し、2種、3種混合という比較的安価な予防医療に限定し行うという方法もあります。

一般的にペットホテルでは混合ワクチン接種済であることを利用条件として定めています。これは不特定多数の犬が同室で過ごすうえで、お互いに病気感染を起こさないためです。

急な用事でペットホテルを利用する場合もありうるので、今後は毎年一回の摂取を済ませておくと安心でしょう。




年に一度の狂犬病予防注射は法的な飼い主の義務

混合ワクチンと混同されてしまうことの多い予防医療ですが、狂犬病予防注射は混合ワクチンとはまるで別物です。狂犬病予防注射は法律で年に一度の摂取が義務付けられています。

狂犬病予防注射は「動物病院」、「自治体が開催する集団接種」のいずれでも摂取が可能です。集団接種は毎年春に開催されます。動物病院では年間を通じて摂取が可能です。

ペットホテルやトリミングショップの利用予定、集団接種では日程の都合が合わない、愛犬が他犬に吠えてしまうなどの理由がある場合は気軽に動物病院へ依頼をしましょう。

狂犬病予防注射の費用は3000円ほどです。摂取後は鑑札と呼ばれる摂取済を証明する札が支給されます。

日本ではもう数十年以上も国内での狂犬病発症はありません。しかし海外ではまだまだ多くの国で発症がある上に、狂犬病は人間にも感染する危険な病気です。

法律で定められた義務ですから、毎年欠かさずに摂取を済ませておきましょう。

6歳を過ぎたら年に一度は定期健診の受診を

愛犬が6歳を過ぎたら、動物病院で定期健診の受診を行いましょう。簡易検査であれば血液検査等で10000円以内で受診することができます。

血液検査を受けることで、目には見えない内臓の不調を早期に発見することが出来ます。また手術とはいかないまでも、今後の健康管理や食事、運動など見直すべき項目も明確になります。

6歳を超えた犬にとって麻酔を伴う手術は想像以上の負担がかかります。病気を早期発見することで、手術を回避することが出来れば、愛犬の長生きにもつながるでしょう。

動物病院での検査の例

  • 一泊の入院を伴う精密検査
  • 遺伝子レベルでの病気発症リスクの検査
  • 30000~50000円ほどの精密検査プラン

愛犬の不調を早期発見するためにも、年齢にあった検査の受診をおすすめします。




愛犬に必要な予防医療は他にも

ペット保険への加入軒数が増加傾向にあるものの、まだまだ未加入者の方が多いほどです。犬の治療は全額飼い主負担ですから、場合によっては数十万円もの費用が必要になることもあります。

愛犬に辛い思いをさせないためにも、予防可能な病気は出来る限り予防策を講じてあげましょう。

いずれも発症後は高額な医療費が必要になる上に、長引く病気治療で愛犬も家族も辛い思いをするものばかです。正しい知識を持って毎年の予防を行ってゆきましょう。

フィラリア症

蚊が媒介する伝染性疾患です。犬の血液内にフィラリアが繁殖することで起こります。発症初期は目に見える異変はないものの、進行とともに息切れや動機、体重減少、咳などの症状が目立ち始めます。

この病気は毎年春~秋にかけて飲み薬を与えることで予防できます。飲み薬はジャーキー状で愛犬はオヤツと思い進んで食べてくれるので、決して難しい予防策ではありません。

小型犬の場合、一年間の予防にかかる費用は5000円ほどで賄う事が出来ます。

またすでに感染している場合でも、一定期間の服薬を続けることで完治を目指すこともできます。早期発見、早期投薬であれば手術を回避することも出来、愛犬の負担も軽く済ませることが出来ます。

フィラリア予防は動物病院で処方を受けることが出来るので、毎年暖かい季節の始まりとともにスタートしましょう。

ノミダニ駆除

室内で生活をしているから、散歩は滅多にいかないから、トリミングショップの利用予定を定期的に行っているから・・・という場合でもノミダニとは無縁ではありません。

ノミダニの寄生はいつどこで起こるかわかりません。愛犬を通じて家族に寄生が広がることもあります。

ノミダニの駆除は愛犬の首元に液剤をたらすだけととても簡単にできる予防策です。費用は小型犬なら一か月1000円ほどです。予防期間もフィラリア予防と重なるので、合わせて処方薬を動物病院で購入しておくと安心でしょう。

ノミダニ予防薬はネット通販やホームセンター等でも販売されています。価格は動物病院の半額程度です。しかしここのような市販薬はマダニ駆除成分が配合されていません。

近年、マダニの人間への健康被害も注目を浴びることが増えているので、愛犬も家族も安心できるように駆除薬は動物病院処方のマダニ駆除成分配合のものをおすすめします。

アレルギー

今やアレルギーをもっていない犬はいないともいわれるほどに、様々なアレルギーに犬達は悩まされています。

アレルギーはアレルギー発症原因となる物質を摂取することで症状が起こり、飼い主が気が付くという流れが一般的ですが、一旦発症したアレルギーを完治させる方法はありません。食事制限等はあくまでも症状を発症させないための対処法であり、治療ではありません。

強い痒みや脱毛を引き起こすアレルギーは実は血液検査で事前に原因となる物質を特定することができます。

事前にこの情報をもっておくことで、愛犬の食事から除去することが出来、辛い症状を回避できるでしょう。今後、愛犬に血液検査をうけさせる時はこのアレルギー検査も合わせて済ませておくと安心です。

元気で健康な愛犬を前に、つい予防医療は無用と考えてしまいがちですが、もしもの場面を想定し、今後は定期的な受診を心掛けてあげましょう。