犬の食物アレルギーの原因になりやすい食べ物

食べ物

近年犬のアレルギーの割合が増加しており、その原因の一つが食物アレルギーです。

今回は、犬の食物アレルギーに関して原因になりやすい食べ物や食事管理の方法についてご紹介致しますので、愛犬のアレルギーに悩んでいる飼い主さんは是非ご活用ください。

犬の食物アレルギーとはどのようなものか

免疫機能が過剰に反応

犬の食物アレルギーは「食物過敏症」とも呼ばれ、食事中に含まれる何かしらの物質に体の免疫機能が過剰に反応することによって様々な症状が引き起こされます。

アレルゲン物質が一種類とは限らない

食物アレルギーの原因となるアレルゲン物質は、ある特定の一種類の物質とは限らず複数の物質に反応することもあります。

主な症状は激しい痒み

食物アレルギーの症状は、主に目や口、耳の周辺の激しい痒みで、顔や体を掻く仕草がみられるため飼い主さんが初期段階で気づきやすいのが特徴です。

治療せずに重症化すると犬のQOL低下のみならず、二次被害として皮膚が厚くなる、脱毛、色素沈着などが引き起こされます。

7割程度が3才以下で発症

食物アレルギーの7割程度が3才以下に発症すると言われており、これまでアレルギー反応を示さなかった物質が急にアレルゲンになることもあります。

皮膚以外で現れやすい症状

皮膚以外にも、食物が実際に通る体内部の消化器官で炎症が起こることもあり、その場合は下痢や嘔吐を中心に消化器系症状がみられることがあります。

アトピー性皮膚炎との区別が難しい

食物アレルギーはアトピー性皮膚炎と症状がよく似ているため、区別が難しいのが特徴です。

アレルギー性皮膚炎とアトピー性皮膚炎が併発することもあり、IgE検査やリンパ球の検査(血液検査)などでもアレルゲン物質が特定されないことが多くあります。




食物アレルギーの原因になりやすい食べ物

肉や卵

犬の食物アレルギーのアレルゲン物質で一番多いのが、肉や卵のたんぱく質で、主に大きな構造の高分子たんぱく質を含む牛肉や鶏肉、豚肉、鶏卵を中心とした食べものがアレルゲンになりやすいといわれています。

小麦や大麦、オーツ麦、ライ麦などの胚芽、または胚乳から生成されるたんぱく質である「グルテン」は、犬のアレルゲンになりやすい物質であると考えられています。

最近、「グルテンフリードッグフード」が人気を集めていますが、これらは犬の消化器官に負担をかけにくいだけでなく、「グルテン」の含有量が多い麦類を犬の食事から排除することでアレルギー対策に役立ちます。

穀物

たんぱく質程割合は高くありませんが、炭水化物量が多い米類や大豆、トウモロコシなどの穀物に関しても犬の食物アレルギーの原因になることがあります。

過度な炭水化物がアレルギーの原因になるだけでなく、穀物に含まれている少ないたんぱく質がアレルギーを引き起こすこともあります。

なお、穀物には麦類である「グルテン」も含まれますが、近年では穀物はアレルギーの原因になりやすく太りやすい、また犬の消化機能に適さないという考えが広まったことから、「グレインフリー」ドッグフードが注目を集めています。

その他

犬の食物アレルギーは、その他にも保存料や着色料、保湿剤などの合成添加物も原因となり、稀に野菜に対してアレルギー反応を示す犬もいます。

食物アレルギーの疑いがある場合の対処法

血液検査を受ける

食物アレルギーの疑いがある場合は、まずは動物病院で血液検査を受けると良いでしょう。

血液検査ではIgE成分を測定する検査、リンパ球の反応をみる検査が一般的ですが、これらの検査では分からないことも多いのが現状です。

除去食で反応をみる

除去食とは、犬の食物アレルギーの原因になりやすい食べ物を食事から排除して様子を見る方法で、一般的にアレルゲンになりやすい食べ物を3週間~10週間を目安に除去してアレルギー症状が改善するか確認します。

さらにアレルゲン物質を明確にしたい場合は、アレルギー症状が改善してからアレルギー要因になりやすい食べ物をあえて食事に1種類追加することによってアレルギー反応がでるかどうかを観察しますが、必ず獣医師に相談しながら行い、症状がでてしまった場合は適切な治療を受けましょう。




食物アレルギーの愛犬の食事管理

与えたことのないたんぱく質

アレルギー症状がでていた期間の食事に含まれているたんぱく質を排除し、他の動物肉や魚肉などを利用して与えたことのない動物性たんぱく質に変更しましょう。

できる限り新鮮で質の良い肉や魚を利用したドッグフードがおすすめです。

犬によってアレルギーを引き起こす食べ物は様々ですが、一般的には牛や鶏などはアレルゲンになりやすいので、比較的アレルギーを引き起こしにくい鴨肉やラム肉、魚などに変更して様子を見ると良いでしょう。

化学合成添加物が含まれない食事

保存料や着色料、酸化防止剤などの合成添加物が使用されていない食事に切り替えましょう。

合成添加物は食物アレルギーに関わらず、長期間継続摂取することによって発がん性を中心に健康被害を及ぼす危険性が高い物質が多いので、いずれにせよ犬の食事から排除したいものです。

グレインフリーの食事

米類、トウモロコシ、麦類(グルテン)などの穀物が入っていない食事に変更しましょう。穀物はアレルギーに関わらず、炭水化物含有量が高く肥満の要因になるだけでなく消化器官に負担をかけやすいので、できる限り犬の食事では制限したい食べ物です。

良質な動物性たんぱく質

大きな構造の高分子たんぱく質が犬の食物アレルギーの原因になりやすいので、良質な動物性たんぱく質にすることでアレルギー反応を起こしにくくします。

生肉を中心に良質な動物性たんぱく質は、「消化しやすく加水分解されやすい=分子が小さくなりやすい」ためアレルギー症状を引き起こしにくくします。

たんぱく質源が一種類の食事

たんぱく質源が多数ある食事はアレルゲン物質を特定しにくいので、一種類に絞って様子を見ると良いでしょう。

除去食を与える際はオヤツなど使用せず、除去食と十分な水分摂取に制限することをおすすめします。

動物病院での一般的な治療内容

動物病院では一般的に血液検査によって明確なアレルゲンが分からない場合、減感作試験として低アレルギー食がすすめられます。

症状に合わせて痒み軽減のためにステロイドが処方されることがありますが、食物アレルギーの場合は薬が反応しないケースもあります。

その他、対処療法として抗生物質投与やシャンプーが必要になることもあります。

食物アレルギーを引き起こしやすい犬

ジャーマン・シェパード、ラブラドル・レトリバー、コッカー・スパニエル、スプリンガー・スパニエル、ボクサー、ダルメシアン、プードル、コリーなどが一般的に食物アレルギーを発症しやすく、犬種問わずアトピー性皮膚炎がある犬は食物アレルギーを併発しやすいと考えられています。

また、免疫力が低下している犬の場合もアレルギーに注意が必要です。

犬の食物アレルギーの原因まとめ

愛犬の食物アレルギーに悩む飼い主さんが年々増加していますが、食物アレルギーを引き起こした場合はアレルゲンの特定をするのに時間がかかり、飼い主さんも根気よく対処しなければいけません。

アレルギーは激しい痒みや消化器系症状を中心に犬のQOL低下を招く原因になり、最悪の場合は痒みから睡眠不足になってしまうこともあります。

犬が痒がるような様子がある場合、アレルギーの早期発見に心がけ、適切な食事管理を行ってあげましょう。